第14章 残酷 ✴︎
…。
え……?
『し、死んだって………嘘…ですよね…?』
「さっき…警察で確認してきたわ。
来葉峠で炎上した車の中から遺体が見つかってね…
それがシュウだったの。」
『!!』
来葉峠って…
私はついさっきまで見ていたテレビに再び目を向けると
そこには燃え残った車の形が映し出されていて…
その車は私も見た事がある車種だった。
[炎上したのは黒いシボレーで、中に乗っていたのは20代から30代の男性とみられています。警察では殺人事件と見て捜査を続けており、身元の割り出しを……]
……なんで…?
赤井さん…数時間前までここにいたよね…?
ついさっきまで…私と一緒にいたのに…
私とはもう会えないって言われたけど
命を落とすなんて…聞いてないよ…!!
『何かの間違いですよ!
同じ車種に乗ってる人なんてたくさんいますし…!
絶対…赤井さんじゃないです!』
自分に言い聞かせるように震える声でそう発したが
ジョディさんは肯定も否定もしてくれなかった。
「美緒…私達の同僚もみんな混乱してるところだから…
落ち着いたらまた連絡するわね。」
電話を切る前、気をしっかり持てと言われたけど…
そんなの私には無理だ…
ツーツー、と電話が切れた音が聞こえて
私は力無くスマホを耳から離し、スマホはゴトン、と音を立てて床に落ちた。
赤井さんが死んだなんて…そんな……
『嫌だよっ…赤井さん……!いやだぁ…っ!!』
私の目から再び大粒の涙が溢れ
私は泣き叫ぶように声が枯れるまで泣いた。
…酷いよ、赤井さん。
私の体にあなたを刻み込んでおいて
この世から消えちゃうなんて……
もう2度と会えないこの苦しみを背負って
生きていかなければならないの…?
こんな残酷なことをされるくらいなら…
あなたと出会う前に戻りたい…
そう思わずにはいられなかった。