第2章 出会いと疑いと
「焼肉定食。焼き加減は弱火てじっくり」
「あいよ」
私たちはひとつの部屋に案内された
き「わぁー!肉だー!!」
「あんまりがっつかないでよ。試験あるんだから」
き「分かってるー!」
途端、部屋全体がガコンと機械音がした
き「うわ!お姉ちゃんの予想的中。なんで分かったの?」
「人間を観察していれば分かるわ。目線、声のトーン、仕草。案外わかりやすいものよ」
き「へー」
「逃げ続けるためにも、きくも会得したら?」
き「気が向いたらねー」
やれやれ
交通費が無料になると聞きハンター試験に参加した私たちここから先はどんな危険が待ち受けてるんだろう…
チーン
「ついたよ行こう」
き「えーもうちょっと…」
「肉が久しぶりなのは分かったから今はダメ!」
き「ちえっ」
私たちはフードをしっかり被って会場へ向かった
なんだろう…急に空気が変わった
き「おじさん臭い…」
(ギロッ
「す、すみませーん…ばか!(小声)」
き「だってさ〜」
ト「よう、君たち新人かい?」
「あなたは?」
ト「俺の名前はトンパって言うんだ。この試験も相当前から受けてる、言わば試験のプロみたいなもんさ。まあよろしくな」
「へぇ」
き「それまだ受かってないってことじゃ…」
「しっ!」
ト「それよりも君たち喉乾いてないかい?ほら!」
そして手渡された缶ジュース
「ありがとうございま…」
私が缶に触れた瞬間
「(ピクッ)」
ト「どうした?」
「いえ、ありがとうございます。後で有難く飲ませていただきますね、では…」
き「お姉ちゃん待ってー」
「きく、それ絶対飲まないでね」
こそこそときくに耳打ちした
き「なんでー?」
「それは…「なあ」はい?」
トンパさんが着いてきたのかと思ったが違った。明らかに少年の声だ。
後ろを向くと銀髪で同じくらいの背丈の少年がいた
「それ、飲まないの?」
「え、これ?」
「要らないならちょーだい」
「ちょっ」
彼はジュースを私の手から奪い取り飲もうとした
だめだ、いくらなんでも彼にこんなものを飲ませる訳にはいかない。私は彼の腕を掴んで飲むことを阻止した
「…邪魔する気?」
「だ、だめです!」
初対面の人との会話で声を震わせながら私は続けた
「それ、急化性の下剤だよ」