第7章 もやもやするこの気持ち。
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あれからあおは放課後になるとすぐに遠野真白に捕まって練習三昧。
俺に構う時間も格段に減っていた。
それはそれで少し寂しい気も……
いやいや違う違う。
俺はそんな思いを追い払うようにブンブンと首を降る。
そんなことより、いよいよ明日は三年生に、あおにとって最後の学園祭だ。
俺は二階の渡り廊下で立ち止まり、中庭に目をやる。
明日、あの中庭で野外フェスよろしくライブをやるって言ってたな…
慌ただしく往き来する生徒たちの中にあおと遠野くんを見つけた。
お、しっかり頑張ってるな。
渡り廊下の窓枠部分に肘を付いて、一生懸命に機材を運んでいるあおたちを微笑ましく眺めていた。
あおたちはそのまま機材を組み立てたり繋いだり、だんだんとステージが出来上がっていく。
そして出来上がったステージの上に立つと、『ジャーン』とギターを鳴らしてみせた。
あおのそんな姿に俺の胸は高鳴っていく。
ステージ上の四人がそれぞれ音を出しながら目配せをして、あおが大きく息を吸った次の瞬間、大きな音が中庭から鳴り響いた。
「前夜祭、スタートだっ!」
あおの声が響いてライブが始まった。
突然の音に窓から顔を出したり室内から出てくる生徒たち。
あっという間に皆、あおたちに釘付けになる。