第17章 禪院直哉 お友だちなろ?
車の後ろの席に乗り込もうとしたら見知らぬ先客がいた。
「こんばんは。なまえちゃん」
「こ…こんばんは…」
運転席に座る補助監督は何とも言えない表情で黙っている。
呪術師と思われる若い男は狐目をさらに細めて笑い、
空いている横の席をぽんぽんと叩いた。
「高専帰るんやろ。乗って」
見るからに怪しいが高専の敵ではないようだ。
車は静かに走り出し、男は足を組んだまま口を開く。
「俺は禪院家次期当主の禪院直哉。
真依ちゃんとはいとこで
面白い呪術使うとかで君に挨拶しておこうと思て。
お友だちなろ?」
「え?…」
禪院家とは呪術界屈指の名家だ。
真依とは同級生だけれど、
直哉の意図が読めないお誘いに口がぽかんと開く。
「なまえちゃん今、二級術師やろ?俺が推薦したる。
悪くない話やと思うけど」
「あの…推薦してくださるのは嬉しいのですが
なぜそこまで…」
「仲良うしたいねん。
なまえちゃん、付き合うてる男は?」