第2章 夏油傑 一晩の監禁
「体は正直だね。ぐちゃぐちゃじゃないか」
それは、傑が動かしているからだ。
近くで感じる傑の声や匂い。
けれど、いつものように愛撫をしてくれないから
不安はどんどん増していく。
「うっ…ううっ…」
「なまえ。泣かないでくれ」
「怖いよ…。傑のじゃなきゃ嫌だよ…」
「私もいやだ。
なまえに触れていいのは私だけだ」
「傑…」
涙を拭う大好きな人の感触とぬくもり。
頬っぺたを触られているだけで
さっきまでの大きな不安が薄れていく。
「傑、もっと…触って?」
「なまえ…」
「傑に触られたい。
傑のことしか考えられないくらい、エッチなことして…?」
求めれば求めるだけすれ違っていく。
わたしも傑もお互いを強く想いあっている。
「もう逃げないから。傑だけ欲しいの」
目が見えなくても、手が使えなくても
傑を感じられる方法ならある。
それは何度も体で覚えている。