第13章 夏油傑 お医者さんごっこ
「今日はどのような症状で受診されたんですか?」
昼下がりの保健室。
投げやりな態度で足を組んで座るのは
真っ白な白衣に袖を通したわたしの彼氏。
「…鼻血?」
「あ、いえ…。これは違います」
制服も私服も黒っぽいから白衣姿の傑がまぶしい。
興奮した鼻血を拭き終わると本題に入った。
「今日はその…胸のしこりが気になって…」
「胸のしこりですね。
右側ですか?左側ですか?」
両方ですと答えると、鼻で小さく笑われる。
「それでは触診をはじめますので服をまくってください」
「自分で、ですか…?」
「うちは人手が足りなくて。
ブラも外してくださいね」
わたしが患者役で傑はお医者さん役。
言われた通りに服をまくって、ブラも一緒にたくし上げる。
「アルコール消毒は大丈夫ですか?」
「はい…」
「それじゃあ確認していきますね」
傑が手に塗りたくったのは
アルコールではなく、ぬるぬるのローション。