第12章 伏黒甚爾 感じる視線
恩返しのつもりで家にあげたけど、
それは全部言い訳に過ぎなくて…
本当は優しく触れてきた彼の大きな手にときめいた。
「あ…!イク、イク…!」
気持ちが高ぶると大きな波が押し寄せた。
びゅるっとナカに出された感覚も味わって、ズルリと熱いものが抜ける。
「なあ、なまえ」
「…?」
彼はわたしの名前を優しげに口にする。
ぼーっとする頭に手を置かれ、汗ばむ髪を撫でられる。
「ここで暮らしてもいいか?」
好きだとか、一緒にいたいとか、
気持ちを置いてけぼりにされた告白なのに嬉しくなる。
「うん…」
「じゃあこれからヨロシクな」
彼は一体何者で、何をしているのかもわからない。
ただ、彼の視線を感じるたびに思うのだ。
わたしの気持ちも性癖も見透かしているんだと。
<終>