第52章 五/夏/七/甚/直 妊娠しないと出れない電車-弐-
急いで脚を閉じるけれどはしたないアソコは疼いている。
「すまないみょうじ。悟がこっちにいること頭になくて…」
「忘れんなよ。つーかまだ抜けきってねぇんだろ?俺をまだ邪魔者扱いにするのか?」
「そのつもりはないよ」
そっと大きな手がわたしの頬に添えられる。
夏油先輩は切ない表情で見つめ、何だかいうのを躊躇っているように見えた。
「あの時飲んだってことは悟ともする気でいたんだよね…?」
「っ…」
やむを得ないとはいえ裏切った気持ちになった。
媚薬を飲んだのは自分の意志。
夏油先輩の気持ちを知りながら二人の争いを止めたいと思ったら体が勝手に小瓶を口に付けていた。
「ご、めんなさい…」
「ううん。君を責めたいわけじゃないんだ」
「でもっ…わたしのしてることは…」
「争いを避けるために自分の身を犠牲したんだろ。わかってるよ。これは私のヤキモチだから…」
頬を優しく撫でる温かな手。
わたしがイケナイ気持ちになるのが悪いのに夏油先輩は決して責めたりはしない。
「私は十分、君を抱いたからね。あとは悟と相談して決めてくれ」