第7章 夏油傑 「お願い…」
最近ムラムラすると思ったら
エッチしてないことに気が付いた。
「なまえ?」
「あ、いや…なんでもない…」
「そっか。じゃあ電気消すね」
「うん…」
傑は照明の灯りを消し、同じベッドに入ってくる。
軽く抱き寄せられて口付けを交わす。
「なまえ。おやすみ」
…嘘でしょ。
なんで物足りないって感じるの!?
すぐ横にある傑のぬくもりと寝息。
暗闇のなかで目で訴えても気付くはずもない。
「…寝付けない?」
「えっ?」
「寝苦しそうな息遣いしているから」
布団の下から腕が伸びてくる気配。
抱かれる、と期待したのに…
「子守歌はあまり得意ではないから
これで我慢してね」
子供を寝かしつけるように一定のリズムで優しく体を叩いてくる。
たぶん、健全な傑になったのはわたしのせいだ。