第6章 五条悟 背中の傷
「あれ?なまえ、赤くなってる」
届きそうにない距離で悟は腕を伸ばしてくる。
わたしの方から近くに寄ると
花でもめでる優しい手つきで背中を撫でてくる。
「痛い?」
「全然」
「どこでやったんだろ。記憶にねぇ?」
うーんと記憶をたどるも…
「そんなにひどいの?」
「肌白いから目立ってる。
やってる時は気付かなかったけど」
「ふーん」
「何だよ」
教えてくれたのは悟だが、
わたしの素っ気ない態度に唇を尖らせる。
「別に。たぶんこれ、やったの悟だよ」
「はあ?俺が傷付けるわけねぇじゃん!
蟻んこより弱いくせにっ」
「それは言い過ぎ」
「じゃあ俺がやったっていう証拠は?あるの?」
断じて自分を疑わない悟。
その時がまた訪れるだろうから
本人のためにも黙ってみるのも手かもしれない。