第43章 夏油傑 親友の彼女-陸-
呪霊も沸くが性欲もモリモリ沸く。
やはり性欲減退は極度のストレスだったらしい。
呪霊を取り込んでもなまえがそばにいてくれるおかげで深く抱え込まず過ごせているが、これほど自分の性欲が強いとは思わなかった。
もはや性欲だけで自分のコンディションがわかる。
「いいなぁ…。夏を満喫している人が羨ましい」
「そうだね。いっそ全部忘れて綺麗な海で泳ぎたいよ」
自分を追い詰める考え方をやめてから楽になったが、解決しなければならない問題が一つ。
非術師が嫌悪の対象になったことだ。
けれどそれは本心ではないことを知っている。
ストレスの源が呪霊を取り込むことならば祓ってしまえばいい。
そう単純に片付ければいいのだが、私の術式は呪霊を取り込まなければ無能になる。
強くなるためにはより強い呪霊を。
いくら戦術を工夫しても限界がある。
どのゲームでも共通するがレア度が重要なカギなのだ。
すべての呪霊を降伏なしで取り込めれば解決できるのだがこの忌まわしい呪縛からは逃れそうにない。
「じゃあ泳ぐ?今なら貸し切りだよっ」
帳が晴れて、夕暮れ時の地平線が広がっている。
さっきまで呪霊がうじゃうじゃ沸いていた海なのになまえがいるだけでこんなに美しく輝いて見える。
「貸し切りなら全裸で泳いでも問題なさそうだね。
服は私が脱がせてあげるよ」
「わたし下着のまま泳ごうと思ったんだけど…」
「着衣のまま泳いだらそれこそ危ないよ?
私も全裸になるから…ね?」