第33章 七海健人 夫婦交換しよ?-壱-
「陽くん。本当にゲームばかりねぇ…」
真っ白な露天風呂に浸かりながら三泊四日の温泉旅行に誘ってくれた会社の先輩である静がつぶやく。
夫の陽と結婚して早二年、レス状態に陥っていた。
「すみません…。まさか先輩夫婦の前で
ゲームしだすとは思わなくて…」
「私は気にしてないわ。
それに夫はいつもあんな顔だし恐縮しても無理ないわよ」
静先輩の旦那さんは健人さんといい、
見た目で判断するのは大変失礼だと思うのだが…
笑顔がなく、表情もあまり動かない緊張する相手だった。
「それにね、理由は違うけれど部屋に戻るのが憂鬱なの」
「?…どうしてですか?」
「ああ見えて夜は精力旺盛なのよ。
酒好きだから飲ませるんだけどそれでもタフで」
悩みなんてない完璧で美人の先輩だと思っていたのに
まさか、性生活で悩んでいたとは知らなかった。
わたしたち夫婦はレス状態。
先輩夫婦は性の不一致。
こんな身近にも夫婦の性生活に問題があるなんて…
「だからね、なまえにお願いがあるの」
「な…なんですか…?」
「旅行中だけでいいから夫婦交換しましょ」
夫婦交換とは別名、スワッピングとも呼ばれ夫婦生活をより充実させる目的でお互いのパートナーを交換し、いつもの日常にスパイスを加えるアブノーマルなプレイだ。