第32章 夏油傑 花火
ベッドの上で裸の体を抱きしめ合っていると…
「なまえはいくつになったら子どもがほしいとか
理想はあるのかい?」
「んー…高専に入る前はおぼろげにあったんですけど
今はそういうこと考えられなくて」
「そっか…そうだよね」
「傑先輩は子どもほしいですか…?」
頭を撫でてくる傑先輩は曖昧な顔をする。
「欲しいと言えば欲しいけど、欲しくないと言えばそんな気もする。
私はなまえさえいてくれればそれだけで幸せで…
こんなこと言ったら余計に困らせるのはわかってるけど
私にはなまえがすべてなんだ」
少しだけ花火を見上げながら先輩が思っていたことがわかったかもしれない。
「私のすべてを君に捧げたい」と告白された日は正直戸惑ったけれど、そういう意味だったのかなって。
「何があっても離れませんよ。
わたしも先輩のことが大好きです」
「なまえ…」
こんなに好きで溢れているのに伝え切れないのがもどかしい。
自分からキスをすると次は先輩から唇を重ねてくる。
「私の愛は重すぎないかい?」
「そんなことないですよ。
ただちょっと愛とエッチは別というか…」
「これでも自制しているつもりなんだが
もう少し回数を減らした方がいいのかな…」