第30章 伏黒甚爾 寝取られ妻-肆-
「泣いてんのか…?」
夫と結婚してから
消えていくばかりのお金を初めて手にすることができた。
親も頼れる人もいないわたしにとって夫のお金がすべてだった。
そこへあなたが現れて、誰かに本気で愛されたくなった。
性処理ペットとして甚爾が家にきて
体ばかりでなく心まで満たしてくれるセックスをしてくれてお金という因果を断ち切るかたちで夫と離婚した。
「甚爾に告白されたの思い出しちゃって…」
駆け落ちではなく離婚して甚爾と歩んでいくことを決めた。
長いことバスに揺られ、
紅葉色づく田舎風景が広がっている。
「この家だな」
「うわあ…お化け出そう」
「あーいるな。どこにでもいそうなやつ」
「えっ…!?」
「嘘」
畑つきの古民家でまわりはお年寄りばかり。
甚爾が持ち前の顔のよさと会話術で村に馴染み、
部屋はあっさり片付いてしまった。
「お前意外と働けるんだな…」
「そうでなきゃこんな田舎暮らしに賛成しないわ。
生まれた家に比べたらホント…」