第4章 夏油傑 朱色に染まるバスルーム
「眺めのいいところだね」
「う…うん」
先方の手違いで
ひとつしか部屋が空いていなかった。
男だからとはいえ相手は傑。
悟じゃあるまいし一泊だけなので何も問題ないはず。
「なまえ。どうする?」
「へっ?」
「お風呂。ホテルに着いたらすぐ入りたいって言っていたでしょ」
「う、うん!入るよ!いますぐ入りたいっ」
「じゃあ少し待っててね」
傑は気を利かせお風呂を入れてくれる。
「ふう。生き返るぅ…!」
傑を疑うなんてばかみたいだ。
ひたひたのお風呂に浸かりながら反省していると
…なにか…妙な物音がする。
「?」
「湯加減はどうだい?」
「…え…」
目を凝らしていた浴室扉が開き、
安全だと思っていた男が腰にタオルを巻いた状態で入ってくる。