第27章 伏黒甚爾 寝取られ妻-壱-
「なまえさんのお知り合い、ですか…?」
マンション内にあるジムに到着すると笑顔の絶えない専属トレーナーは怪訝な顔をみせる。
気持ちがそっちのけですっかり忘れていた。
「彼のことは気にしないで。
心配性の夫が寄こした番犬みたいなものよ」
「そう…なんですね」
「じゃあいつも通り厳しくお願いするわ」
「はいっ!よろしくお願いしますっ」
マンションオーナーでもある夫の権限で
この時間帯はジム施設を貸し切ってもらっている。
昨晩、甚爾が性処理ペットとしてうちに来てから
気持ちが落ち着かない。
いつも通りトレーニングに集中したいのに…
甚爾から熱のこもった視線を送られまったく身が入らない。
「はあっ…はあっ…はーっ…」
「なまえさん…体調悪いですか?もしあの男が目障りなら席を外してもらった方が…」
専属トレーナーは甚爾を見ながらわざとらしく耳打ちする。
「そうね…。今日はこれで切り上げましょ。あとは自主練するわ。お疲れさま」
「えっ?…はい…わかりました。では私はこれで…」