第25章 伏黒甚爾 もう一回
「じゃあ僕は向こうの部屋で見ているから…!」
寝取られ性癖のある夫は二回目を引き受けたのが余程嬉しかったらしく、ずっとあのハイテンション状態。
「はあ…」
「夫婦揃ってここまで違うとはねぇ」
甚爾という男は夫の前では礼儀正しく振る舞うが、わたしと二人きりになるとドカッとベッドに座って生意気な視線を向ける。
「何が言いたいのよ」
「別に?やる気がない女を襲う趣味はないんでね」
「はあ?」
それってつまりわたしがやる気を見せないと抱かないってこと?
夫から多額の報酬をもらってるくせに。
「そう怒るなって。態度じゃなくて口でもいい。
俺はお互いの利害の一致を大事にしてる」
「くだらないポリシーね。
夫がお金を払っているんだから好きに抱けばいいでしょ」
夫の依頼で甚爾はわたしを抱く。
ただそれでいいのだ。それなのに甚爾のくだらないポリシーのせいで責任をすべて押し付けられなくなる。
「この鏡の前に夫がいるのよね…。何してるのかしら」
「お互いそれを想像すんのが楽しいんだろ。
まあ俺はアンタを抱く楽しみを奪われちまいそうだけど」