第22章 禪院直哉 繋がる体と繋がらない心
「なまえちゃんやな。こんにちは」
禪院家とは遠縁ながらも親戚関係にあたり、わたしは呪力の高さを買われて嫁ぐハメになった。
この家のしきたりはとても厳しく、女性は肩身が狭いと有名だ。
中でも一目置かれる次期当主であるこの男に目を付けられないように行動していたのに。
「こんにちは…」
「最初に会うときから思ってたんやけど
ホンマ人見知りやな。喋れいうても盛り上がらなそうやし本読んでくれへん?」
「…はい…謹んでお受けいたします…」
断りたかったけれど次何を言われるか、何をされるか恐ろしくて想像をしてしまう。
直哉の後ろを歩きながら居心地の悪い空気を感じる。
誰もかも見てみぬふり。
書斎に通されると一冊の本を手渡された。
「…!」
「読んで?」
直哉はどかっと椅子に座り、わたしは正座をして本の内容をみて戸惑う。
…聞かれたくない声がもっと小さくなった。
直哉が渡してきたのは官能小説の短編。
冒頭から際どいワードが飛び出し、それを口にするだけで震えてしまう。