第1章 東卍童話パロ ヘンゼルとグレーテル
「お前は河田家のダークホースだな」
「ムーチョ…」
二人は静かに向かい合い、戦い始めました。ムーチョが得意の柔道技をけしかけ、背負い投げられそうになります。
しかし床に叩きつけられる前に、アングリーが逆に彼を背負い投げます。そのまま熱されたオーブンへぶち込みました。
「あちっ!あっつぅ!あっ…熱いって…!」
あまりの熱さにムーチョが暴れたため、オーブンの火が部屋に引火してしまいます。
辺りが燃え広がるさなか、アングリーは鍵を開けて兄を檻から出し、足を引きずりながら二人で手を取り合い脱出しました。
お菓子の家は燃え尽き、辺りには甘ったるく焦げ臭い匂いが充満しています。
「お前はやっぱ強ェなアングリー。今回オレ何もしてねえわ」
その様子を見やりながら、二人は今までをあれこれ振り返ります。
「にいちゃんハイキングの時から色々指示出して動いてくれたじゃん」
「んじゃあ、オレら二人が最強ってコトでいいか?」
「うん!」
満面の笑みで兄に同意するアングリー。二人で力を合わせれば、どんな困難にも立ち向かえる気がしました。
「しかしよお、とんでもねえ所だったなァ。あんな家、森ん中にフツーにあっちゃイカンだろ」
「わざとじゃない?子供が迷い込むようにさ。実際オレらも見事にお菓子につられたし」
その後は、再び出会った白い鳥に導かれ先へ進みます。浅い小川を渡るためにその川に入ると、不思議なことに二人の折れた手足が治っていきました。
さらに進むと、どこか見慣れた風景が目の前に広がっていました。そう、ついに自分たちの家へ帰ってきたのです。
「とうちゃんだ」
「お前ら…無事だったか!」