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江戸でおむすび屋さん始めました!

第2章 削り節おむすび(おかか味)


「おい、大丈夫か?」
ん?ここはどこ?はっ??
私が薄らと目を開けると見たことのあるような男性が心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
「へっ?あっ、ごめんなさい。」
私は咄嗟に起き上がってまわりを見回す。
「何も悪いことはしてねぇから安心しろ!おめさん、草原で倒れちまってよー。俺がここまで連れてきたんだべ。ここは俺の家!」
「あっあの、ありがとうございます。一人暮らしなんですか?」
私が申し訳なさそうに男に聞くと男は照れくさそうに妻と二人暮らしだと言っていた。

「ちょっとどうしたの?・・・ってあんたまさか?」
「いや、ちげーよ。迷い人が草原で倒れてたから助けに行ってただけだ。」
そこに着物を着た綺麗な女性がやってきた。多分、男の奥さんだろう。
「本当なんです。この人に助けてもらっただけで何もないんです。」
私も必死に弁解したら女性はわかってくれたらしい。

「それにしても見慣れない顔ね。」
「あの、こんなこと二人に言っても信じてくれないと思うんですけど私は遠い未来から来た人なんです。」
「未来?」
「はい、あなた方よりもっと先の年号から来た人なんです。もしかしたらタイムスリップしたのかもしれません。」
私は彼らにそう伝えた。信じてくれなくても事実を言いたかったのだ。

「いや、おめさんのことは信じたいけどなんか信憑性がないっていうか。」
「それは本当なのかい?」
女性が心配そうに私に駆け寄ってきた。
「それでそのタイムなんとかって何だべ?」
男が私に聞いた。
「信じてくれないかもしれないんですが、どうやら私は未来の年号からこちらになんらかの理由でやってきたんだと思います。理由はわかりません。気がついたら草原にいました。それまでは自転車っていう乗り物に乗って帰宅途中だったんですけど急に前が見えなくなって。」
「確かに言われてみればおかしな言動と見慣れない服を着てるなぁ。でもここでその服だとまずいんじゃねーの?」
男が心配そうに言った。
「うーん。私の着物でよければ貸してあげましょうか。あんたのその服は預かってあげるから。まだあんたのこと信じた訳じゃないけど今着てる服は帰る時に着替えな!」
「ありがとうございます。」
私は女性に頭を下げて着物を貸してもらうことにした。
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