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江戸でおむすび屋さん始めました!

第2章 削り節おむすび(おかか味)


・・・ここはどこなの?
私は周りを見まわした。乗っていた自転車はなくあたり一面、草原が広がっていた。
「自転車がない?なんで?ってことは?」
自分の頭を触ると被っていたヘルメットもなかった。
何がどうなってるの?頭の中はパニック状態だ。ふと自分の肩に目をやるとスクールバッグは残っていたようで肩にぶら下げていた。
「スクールバッグはあったんだね。よかったぁー。」
鞄を開けてスマートフォンを手にして開くと電波の届かない所にいるらしく何もかも繋がらなかった。

え?もしかして私って迷子?だとしても自転車もないし・・・。
私がそう思っていると見知らぬ男性がこちらにやってきて私の顔を怪訝そうに見た。
着物を着てちょんまげ頭のその男は今にも腰につけた刀を引き抜こうとしていた。
「まっ、待ってください。私は怪しい人じゃありません。なんていうかー道に迷ったみたいな?」
私が必死に弁解すると諦めたかのようにため息をついて男は言った。
「なんだよー。てっきり曲者かとー。」
「あの決して曲者ではありません。っていうかここどこなんですか?」
「どこって草原だべ?」
いや、私の聞き方が悪かったのかな?それにしてもこの人は何でこんな格好してるんだろう?
「あーっ!わかった。俳優さんね。時代劇の撮影してたんでしょ?やだ私ったら邪魔しちゃったかしら?ごめんなさい。」
私は頭を下げて立ち上がり去ろうとした時だった。
「待て待てぃ!」
男が私の肩を掴んできた。
「こっちこそ驚かせてすまねぇ。で、時代劇ってなんだべ?」
「えっ?時代劇を知らないんですか?またまたーお芝居なんでしょーこれ?」
「芝居じゃねーけど。」
私の言葉と男の言葉が噛み合わない?どうして?やっぱり聞き方がいけなかったのかな?と私は思い、聞き方を変えることにした。
「今って何時代ですか?いや、その年号とかは?」
「おかしなこと言うやっちゃなー。寛永だべ?」
「えっ?だって今は令和のはずじゃ??寛永?ってまさか・・・。」
そんなはずはないと思ったが、この男の風貌と言葉で確信がついた。
「ここって江戸時代??」
私はそう叫び、草原に倒れ込んだ。

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