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江戸でおむすび屋さん始めました!

第8章 夏と恋とひんやり甘味


お店の中はお客さんで賑わっていた。どこもかしこも楽しげな会話が聞こえてくる。私は大衆食堂の机に続逸さんと向かい合わせで座り先ほどの話を聞いた。

確かに嬉しい話であり、私が江戸の人ならすんなり受け入れるだろうけど、私はこの時代の人ではないのだ。
実際に付き合っていいものかどうか悩んでしまった。
「すみません・・・今すぐには・・・答えは出ないので・・・考えてもいいですか?一週間くらい・・・。」
私は頭の中が真っ白になりながらしどろもどろに答えた。
何でそんなに待たなきゃならんのだという答えが返ってくるんだろうと覚悟していたら意外な言葉が返ってきた。
「わかった。俺はいつでも待つさかいに。しっかり考えとき。それにこんなに手紙のやり取りしとっても穂乃果さんのことあまり知らんでな。俺に教えてくれへんか?歯ブラシ屋をやる前はどこで何をしとったんか?お前さんは江戸のもんなのか?」
続逸さんにこう聞かれて私は戸惑ってしまった。町役場ではやんわり通せたけど本当のことを言うべきか頭を横切った。

迷っているのだろうか?でも、吾郎さんと綾さんとの秘密だと決めたじゃん。もしここでいや、仮に続逸さんと2人っきりになったとしても私の出ところを話してしまえば二人との約束を裏切ることになるのだろうか?そんなことになったらせっかく助けてくれた恩もあるのに申し訳ない。かと言って大っぴらに嘘をつくなんてできないこともわかっていた。

嘘はつくんだろうけど半分くらいは本当の話も盛り込まないと。

遠くから来たと話したら遠くってどこだ?と詳しく聞かれたもんなら困ってしまう。

私に与えられた一週間でなんとか答えを出そうとそればかりが必死だった。
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