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江戸でおむすび屋さん始めました!

第6章 清涼感たっぷりアジのなめろう


ここ最近はかき氷のことで頭がいっぱいになっている。確かにあんみつでも涼しげなんだけどもう少し清涼感が欲しいと思うところ。

そして八月の期間限定献立もそろそろ考えないといけないなと思った。
「八月の献立は何にしようかな?」
そういえば私のいた時代ではASMRというジャンルの動画が流行っていた。色んな音のなかでも特に人気だったのが食べ物の咀嚼音だ。一見、お行儀が悪いように見えるけど咀嚼音を聞くと心地いい感じがする。韓国や中国の人々の間で広まり、やがて日本やアメリカにも浸透してきた。

中でもインパクトがあったのは丸ごとのスイカを使ったフルーツポンチのようなもの。スイカの中身を全部出してアイススプーンで掬って凍らせて寒天やフルーツを入れた贅沢品だ。これをお店で出したらどうだろう?と考えた。しかし、1人ではとても食べられない量なので夏のコース料理を提案してその中に入れたらどうだろうかと思った。そして夏といえばやっぱり鰻だよね。タレをたっぷりかけた鰻のおむすびを最後はお茶を入れてお茶漬け感覚で食べるのは面白そうだと考えた。まぁ、お重に入った鰻もいいんだけどね。

「鰻の方はいいとしてスイカの方はどうしよう?もう少し清涼感を出したいよね。」
本当ならサイダーを注ぎたい所だけど江戸にそんなものはない。炭酸水作りで心折れたもんね。無理なのかなー。
それなら色んな味の四角い寒天を作ったら色とりどりでいいんじゃないかと思いつき、私は手伝いの女子達に提案した。
それはいい考えだねと言ってくれて明日から仕込むことになった。

「スイカは大きくて貴重だから慎重に仕込まないとね。っとなるとコース料理だとあとの料理はどうしよう?」
私が腕を組んで考えていると舞子ちゃんが言った。
「せっかくの連続料理やし、今までの献立にないおむすびを作るのはどうやろか?」
お手伝いの子達にはコース料理を連続料理と説明しておいた。
「今、までにないおむすびかぁ。あとは夏野菜を使った何かだよね。素揚げでもいいし、そこに天つゆつけて煮浸しでもいいし、天ぷらでもいいし・・・うーん。白だしを使って何かでもいいし。夏と言ったら蕎麦か素麺なんだろうけど、おむすび屋としておむすびはないとね。やっぱりコース料理全部決まってからスイカに入ろうかな?」
慎重に考えたいとの思いで私の頭の中はいっぱいだった。
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