第6章 清涼感たっぷりアジのなめろう
七月の限定献立も大盛況だ。アジのなめろうおむすびは中になめろうを入れて青じそで包むことにした。これはおむすびを包んでいる海苔で思いついたアイデアだ。
さっぱりしていて美味しいと好評で冷や汁も人気になりつつある。
本当は冷や汁に氷を入れたらいいのかもしれないけれど、この時代に氷を作れるものはない。だから、冷や汁を作る時は火にかけないで味噌が溶けるようにひたすら混ぜなくてはいけない。そして私のお店でも風鈴や風車を飾り始めた。少しでも涼しくなるように工夫したつもりだ。
そしてこの日のお店終わりに私は考えていた。かき氷が作れないかと。日本にかき氷が初めてできたのが平安時代からとされている。昔は冷凍庫なんてなかったので冬に氷を溜め込んでいて夏になったら削る作業をしていたそうだ。その削った氷を都市部に持ってくる頃には溶けて小さくなっていたそう。
なるほどね!製氷機があればすんなり行くのかと思うけど氷が山奥に保管してあるなら運ぶのに手間がかかるよね。しかもドライアイスとかクーラーボックスのようなものもないこの時代でどうやって氷を維持して運ぶことができるのか難点かぁ。しかも江戸時代といっても氷が普及していったのは後期から。今は中期だもんね。
この時代の人々の移動手段は徒歩、または籠に入っての運搬だもんね。籠=今でいうタクシーみたいな扱いなんだろうけど一般庶民は徒歩だもんね。まぁ、走れって言われたら走れないこともないんだろうけどね。走った所で氷が溶けるのは変わらないか。
私が今、重宝している竹だって山奥にあるし取りに行くのに時間がかかるもんな。でもなんとしてもかき氷を作りたい!本当はアイスクリームが作りたい所だけど。だって卵と牛乳があればなんとかなるでしょ?生クリームはないんだろうけど。生クリームだって主成分は牛の乳だしなんとか加工すればー?そこはいいとしてバニラビーンズをどこで仕入れるかだよね。そもそも輸入なんてやってるのかな?まだだよねーなんて考えているうちに日が暮れたのでこの日は仕事の話はこれくらいにして自分の夕飯に取り掛かかった。