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江戸でおむすび屋さん始めました!

第5章 だし巻き卵は母の味


そういえば月日が流れてどのくらい経ったんだろう?現代では今、何月何日なんだろうか?そう思うようになった。私が江戸に来た時が十六歳だった。江戸ももうすぐ夏が来る。そろそろ私の誕生日が近いかもしれない。そうしたら私は17歳になる。江戸時代では誕生日はどんな風にお祝いするのだろうか?ケーキなんてものはないし、そもそも誕生日っていつから定着したんだろうか?

もし、江戸時代に誕生日がないとしとら私が広めても良いのではないか?と思う。このお店にはパンケーキもあるし、江戸時代ならろうそくもあるし合体させればー?

そんなことしたら時空とか時代とか歴史とか変わってしまうのはわかっているのだけれど、そもそも私がこの時代にいること自体が既に歴史が変わっているのではないか。

そうだよね、、、江戸時代に誕生日なんて馴染みないもんね。
そうこうしてるうちに私の誕生日が来てしまった。今日で十七歳となった。とりあえず一人でお誕生日の歌を歌ってみる。
「ハッピバースデートューユー♫」
ケーキも何もなくプレゼントもないけれどこれはこれでいいのかな?

いや、今までは違った。家族がお祝いしてくれた。ケーキやご馳走を囲んでケーキのろうそくの火を消して・・・。そう思うと涙が溢れてきた。一人でしきりに泣いた。

ガラーッ。
「えっ?」
私が音のする方を見上げると続逸さんがお店に入ってきた。
「いや、すまねぇ。手紙でもよかったんだけど大事なことを直接に伝えなきゃと思って。勝手にお店の扉を開けちまって・・・え?何で泣いてるんだべ?」
「あっ、ごめんなさい。ちょっと過去のことを思い出して。故郷が懐かしいなって。」
私はその場を取り繕うように言った。
「穂乃果さんの故郷ってどこだべ?」
続逸さんが扉を閉めて私に聞いた。
「それは詳しくは教えられないの。ごめんなさい。私は遠い所から来たとだけ伝えておくわ。私、今日で十七歳になったの。あっ、そうよね。年齢は伝えてなかったわ。」
「そうか。十七か。いや俺のほうこそ年齢を伝えてなくて。」
私達の間にはしばらく沈黙が流れた。心の中で何かがつっかえている気がした。
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