第5章 だし巻き卵は母の味
色々と食材を買ってお店に戻ってきた。とりあえず、イワシと梅とオクラときゅうりを使って試作品を作ることになった。
「あっそうだ!江戸のみんなにもスカッとしてほしいな。ソーダ水とかできないかなぁ?二酸化炭素さえ手に入ればできるんだけど?」
私の時代にはコーラやサイダーのようなスカッとする飲み物で溢れている。何もお酒じゃなくたって子供でもスカッとすることができる美味しい飲み物だ。この時期は梅が旬だし、梅酒があるくらいなら梅でソーダを作れないかと考えた。
「でも二酸化炭素ってそもそもどうやって作り出すんだろう?」
この時代に浄水器なんてものはない。
「炭酸ガスが手に入ればなぁ。まずは湯呑みにお水を入れて冷やして・・・ピッチャーみたいなのがあればいいんだけど?」
この時代の主な飲み物はお酒かお茶、強いて言うなら水くらいはあるだろうけどそれくらいだろうか?お酒もとっくりに入ってるものが多くとっくりにソーダを作るにしてもふたをしないと炭酸が抜けてしまう。
「重曹とクエン酸で炭酸水できないかな?」
とも思ってみたけどそもそも重曹やクエン酸が手に入るわけでもなく試作品は難航を極めた。
つみれ汁とたたききゅうりの梅和えはうまく行った。きゅうりの梅和えにはオクラも混ぜてさっぱりとした味に仕上げた。
残りは難関の梅ソーダ水だけ。何としてでも作りたい一心で私は科学者になったつもりで研究に勤しんだ。