• テキストサイズ

江戸でおむすび屋さん始めました!

第5章 だし巻き卵は母の味


六月になると江戸でも雨がたくさん降る時期らしい。
「こっちでも梅雨ってあるんだね。」
そう思う。この日はお店は休みなので六月の限定メニューを考えていた。お手伝いの女子たちに聞いたら六月は雨がたくさん降ると言っていた。
「もうすぐ六月になるんだもんなぁ。それまでに限定メニューを考えないと。」
私は思いを巡らせる。六月の旬の野菜や魚ってなんだろう?
まずはネバネバ食感がクセになるオクラ!そして前回も出てきたえんどう豆や瑞々しいきゅうり、アジは初夏が旬らしいので七月のメニューで考えようと思った。
「アジは七月にして六月は何にしようかな?あっそうだ!この時期はイワシが旬だもんね。つみれ汁なんてどうだろう?あとは梅かぁー。梅を使った料理ねぇ。」
おむすびで梅は使ってるし他に梅の料理は?たたきキュウリの梅和えとか?さくらんぼもこの時期なんだけど、江戸にさくらんぼなんてあるかなぁ?あるなら米粉の生地でパイとか作れないかな?
色々アイディアは浮かんでくるもののあるかどうか分からない食材のことを考えたって仕方ない。私は思い切って八百屋に出向くことにした。

外に出ると出店で活気付いていた。

「へい、いらっしゃい!安いよー安いよー!穂乃果さんじゃないですか?」
お店の人が声をかけてくれる。
「あの、この時代ってさくらんぼはありますか?」
「さくらんぼ?何ですかそれ?」
「えっと、赤い実が二つぶらさがってる果物なんですけど。」
「うーん。聞いたことないなぁ。」
「そうですか。ありがとうございました。」
お店の人とのやり取りを聞く限りどうやらさくらんぼはないらしい。こればっかりは仕方ないかと諦めて他の野菜や果物を物色した。
/ 130ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp