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江戸でおむすび屋さん始めました!

第5章 だし巻き卵は母の味


この日もお店は繁盛していた。そして私はだし巻き卵に取り掛かるべく卵を割ってかき混ぜる。
卵焼きと一口に言っても味付けは様々だろう。私の実家では白だしを使った甘めの卵焼きをよく作っていた。元はお母さんから教えてもらったレシピだ。白だしは何にかけても味が決まるからいい調味料だなと思った。そもそも白だしの原材料はなんだろうか?ふとそう思ったけれど考えてみたらシンプルな答えにいきついた。
「そうだ!まずは昆布で出汁を取ってそこに薄口醤油を入れればいいんだ!」
江戸時代にも薄口醤油があると聞いた。しかし、綾さんの話だと徐々に濃口醤油が広まってきてるらしい。薄口醤油だって立派な調味料だし、失われるのは勿体無い。私はそう思い立ち、薄口醤油を早速買うことにした。そして薄口醤油を買ってきて出来立ての昆布だしにかけて味見をしたけれど・・・。
「うーん。何かが足りないなぁ。お酒かな?じゃあ、お酒を入れて火にかけないと。ツヤも欲しいからみりんと・・・塩かな?」
うろ覚えなのでしっかりしたレシピはない。しかし、実家で使っていたオーガニックの白だしは薄くて綺麗な茶色のような色をしていた。茹でたほうれん草にかけて食べた時に味わい深くて感動した覚えがある。私はすぐに行動に移して白だしを作った。

出汁を鍋に戻して火にかけ戻して目分量の酒とみりんと塩をひとつまみ入れてぐつぐつ煮てみた。そしてもう一回、味を見たらこれだ!と思った。
それから手伝いの女性達にも白だしの作り方や白だしの良さを伝えた。こんな調味料があるのねと驚いていた。

この日から薄口醤油をお店から買い取るようになった。お店の人は驚いていたけれど白だしの味を見てもらったらこれは凄いねと、言ってくださり、これからも薄口醤油を作ってくれることになった。

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