第4章 愛情いっぱい塩むすび
季節は少し変わり、五月になった。五月の限定メニューは茄子の醤油マヨネーズ焼きとえんどう豆のおむすびにした。茄子は五月が旬だし、以前実家で茄子のステーキを作ったら家族から好評だったから。ただ、ステーキを江戸の言葉で表せないのでこの名前に変えてんだけどね。そして五月は豆が目白押し。えんどう豆もあるけど、そら豆ある。スナップエンドウや絹さやなんかもある。絹さやも迷ったんだけどなぁ。
まぁ、この二品を追加しますか。えんどう豆のおむすびは少し塩味が効いたシンプルな味付けにした。その方が豆本来の味を味わってもらえると思ったから。このメニューをお手伝いの女性達に伝えたら好評だったし、試食の段階で美味しいと言ってもらえたので作ることにした。
「あっ、そうだ!味噌とか醤油って手作りした方がいいのかな?でもやったことないんだよなー。」
私は仕込みの時間に女性達に提案してみた。
一応、実家にいたときはオーガニックの味噌や醤油を使っていたけどやっぱり江戸では手作りの方がいいのかな?そりゃ、醤油屋さんも味噌屋さんもあるけども。
「発酵が難しいって言いますよね。」
詠子さんが不安そうに言った。
「それもそうだよね。」
折角作ったのに腐らせちゃったら勿体ないもんな。でも折角だからチャレンジしてみたい。
「まずはお試しで作ってみるのはどうでしょうか?試すならいくらでもできますし。」
舞子さんの提案で意見がまとまり、とりあえずお試しで両方少しずつ作っていくことにした。
常連さんにその話をしたらいいんじゃないかと好評をもらえた。
「お試しで作るだけなので上手くいくかどうかはまだわからないんです。それまでは暫くお店で買った味噌と醤油を継続していきますので今の味でもいいですか?」
と私が尋ねたら常連さんが頷いてくれた。
「いいんじゃないかな?俺はこの味で慣れ親しんでるからこのままでもいいし、こだわりあるんなら変えてもいいし。」
「ありがとうございます。」
前向きな意見がもらえてよかったとホッとした。
五月になり限定メニューの宣伝も行ったおかげでどれも人気に。好評でなのはいいけど品薄になってしまったからまた追加して作らないとだな。