第2章 削り節おむすび(おかか味)
歯磨きの違いにお互い驚きながらも済ませて吾郎さんと私は町役場に向かった。
「行ってらっしゃい。」
綾さんが手を振ってくれたので私も手を振り返した。
「行ってきます。」
それから吾郎さんに案内してもらって町役場に行く途中、あれこれ話を聞いた。
「町役場は右に曲がって漬物屋を行った所の角の向こうにあるんだ。」
「なるほど。」
「それにしても凄いな。私なんかお芝居でしか見たことない世界だから何もかもがびっくりで。」
「そっかー。穂乃果さんの時代はこういう建物はもうないんか?」
「お芝居のセットっていう作ってある建物とかあとはお城も残ってるのはあるけどほとんどは違う景色になってるよ。建物もすごい高い建物があったりして・・・あっ、高いって言うのは値段じゃなくて高さのことなんだけどね。」
「ひぇー高さがあるんかいな。そんじゃ階段はいくつあるんだべ?」
「それはうーん。考えたことなかったけど、高さに合わせてあるんじゃないかな?」
そんな話をしながら歩いていると町役場に到着した。
「穂乃果さんはここで待ってな!ちょいと上の人に許可取ってくるべ。」
「ありがとうございます。」
吾郎さんはそそくさと役場の中に入って行った。私はお客様の邪魔になるだろうと隅の方に寄って待つことにした。
暫くして吾郎さんが戻ってきた。
「いやぁ、すまねぇ。見学は邪魔になるからできねぇと。」
「そう・・・ですか。でも話だけでもさせてくれませんか?今後の私の計画に関わることなので。」
私はここで引き下がるわけにはいかないと思い必死に訴えた。
「まぁ、話だけならいいんじゃね?俺は仕事に取り掛かるからもう面倒見てられないからな。あとは自分で何とかしてくれ!」
「わかりました。ありがとうございます。」
吾郎さんが仕事に取り掛かかってる間に私は御役所さんの所に直談判しに行くことにした。
「失礼します。」
「何かご要望ですか?」
御役所さんが私に聞いた。
「あの、つかぬこと聞きますが・・・この時代では女性はどのくらいの割合で働きに出てるのでしょうか?」
「そうさなぁ、家業があれば継いでる人もいるがな。ほとんどのおなごは家の仕事をやっちょるよ。子守とか炊事とか洗濯、掃除だべさ。しかし何でそんなこと聞くんだい?」
御役所さんが怪訝そうに私に聞いた。