第2章 削り節おむすび(おかか味)
ふと家族のことを思うと何だか寂しくなった。この日は吾郎さんの家でお世話になり、寝かせてもらった。確かに現代に帰りたい気持ちもあるけど今はここで頑張っていきたいと思っている。もう少しここでの生活が軌道に乗るといいな。
そうだ!明日は吾郎さんに小判の数え方を教えてもらおうっと。役場の仕事を見学してもいいし。見学だけならタダじゃないかな?そんなことを思いながら眠りについた。
そして翌日になった。今朝も3人で朝食を食べた。炊き立てのご飯に味噌汁と煮干しだった。
「煮干しは出汁にも使うけど立派なおかずになるのよ。」
綾さんがそう教えてくれた。
「あの、昨日考えたんですけど・・・吾郎さんの職場は見学できないんですか?」
私は昨日考えたことを吾郎さんに伝えてみた。
「俺の職場?いやぁ、どうかな?上のものが許してくれるかどうか?」
吾郎さんは参ったなぁと困り顔をしていた。
「ここでの暮らしも知りたいし、小判の数え方を学びたいんです。私の計画を応援してくれるって言ったじゃないですか?お店を出すには商売が上手くいかないといけないと思うんです。それには接客も大事ですが、小判の管理や数え方を学ぶことで食材を調達したり何よりお店を開くのに資金がいるんです。自分でなんとか稼ぎたいんです。そのためには小判の数え方を知らないとただ、働き口が見つかってもらったとしても溜まっていくだけですし・・・・無理なお願いしてるのはわかっているんですけど、お役所で問い合わせはできないんでしょうか?」
私があまりにもぐいぐい言うので根負けしたのか吾郎さんがお役所に問い合わせてくれることになった。
「問い合わせるのはいいけどよーダメだって言われたらお綾の所にひとまず帰りな!」
「ありがとうございます。」
こうして私は吾郎さんについて行くことになった。
朝食を終えて私は吾郎さんに聞いた。
「あの、この時代って歯磨きはどうしてるんですか?」
「歯磨きあるべよ!房楊枝で磨くんだべ。これが歯磨き粉だべ。そういや、穂乃果さんの時代も歯磨きあるだろ?」
「うん。えっと私の時代ではこれを使うの!」
私は自分の鞄から歯ブラシを出して見せた。
2人は驚いて歯ブラシを見ていた。
「これは作りがすごいなぁ。どうなってるんだべ?」
「へへっ、すごいでしょー。」
私はにっこりして言った。