第12章 初めましてと秋刀魚の季節
続逸さんとのお出かけは楽しかったけれどどこかモヤモヤが残ってしまった。
お店に帰り、試作品を作って食べる。明日も仕事を頑張ろうと思った。
十月は秋刀魚の炊き込みおむすびと、きのこと牛蒡の炊き込みおむすび、スイートポテトならぬ甘いさつまいも焼きを提供することになった。そしてお店で提供すると大反響となった。
秋はやっぱりいいよね。きのこに鮭に秋刀魚に栗に・・・食欲の秋とだけあって具材がたくさん。
そうなると十一月の期間限定献立は??大根ステーキかな?ソース何にしよう?なんて今からワクワクと考えている。椎茸の軸に茄子のトマト煮を詰めてチーズかけても美味しそうだな。なんて考えていると私のお腹の音が鳴り、お客さんがどっと笑った。
「あははっ、穂乃果さんらしいや。」
「なんかすみません。」
私はお客さんに謝ってから店の奥に行き、秋刀魚の炊き込みおむすびと塩むすびを頬張った。私が食べている間はお手伝いの女子達が接客してくれた。
おむすび二個とお茶を胃の中に流し込んで接客に当たった。
「いらっしゃいませ。」
そしてお店終わりにお手伝いの女子達にこんな提案をしてみた。
「姉妹店を作ろうと思うの。どう思う?」
「姉妹店?ですか?なんでまた?」
舞子ちゃんが不思議そうに私に聞いた。
「夏祭りの時にらぁめんやぴざを出したら好評だったの。そこでぱすた&ぴざ屋さんか、らぁめんのお店をやろうと思ってるの。夏祭りの終わりくらいからそのために小判を貯めてきたの。でも、すぐじゃないわ。二年とか三年経ったらの話よ。そうなるとこのお店も二号店も従業員を増やさないといけないわ。らぁめんと、ぴざ&ぱすた屋さんならどっちがいいかな?」
「うーん。」
女子達が考えている。
「でも待ってよ?ぱすたをやるならフォークどうしよう?私が開発して使い方を教えた方がいいのか?まぁ、箸でも食べられるしいいのかな?らぁめんもやりたいけど、ぴざやぱすたも捨てがたい・・・でもそうなるとラーグーソースとかミートソース系はできないのかな?うーん・・・お肉に代わるものは?あっ!大豆ミートを私が開発すればいいのか。」
なんて一人で納得している向かい側でお手伝いの女子達がポカンと顔を見合わせていた。