第12章 初めましてと秋刀魚の季節
「非常に申し上げにくいんですけど、江戸城の跡地ならあります。」
「そうか・・・。」
私の言葉に吾郎さんが落胆して言った。
「でも、全部が壊されたわけではありません。一部の建物は残ってるんですよ。証拠がないので見せられないんですけど・・・。信じてもらえないですよね?あははっ。」
「でも穂乃果さんが言うようにぎょーさん高さのある建物があるなら、仕方ないのかな。」
吾郎さんが苦笑いして言った。
お店に着いて吾郎さんにお礼を言ってお店の扉を開けた。
ガラガラーッ。
扉を閉めて灯りを灯してお店の椅子に腰掛けて一息つく。
綾さんに何を作ってあげようか色々と考えは浮かんでくるけど、実際に作れるかどうか・・・。
チーズフォンデュもいいなぁ。でも野菜とかパンとかどうやって刺そうかな?
とりあえず浮かんだ献立を紙に書き出した。