第12章 初めましてと秋刀魚の季節
それから時々、私は吾郎さんと綾さんの家の台所でせっせとお料理を作って食べてもらった。
「植物油を搾ってきました。ここに置いておきますね。」
「ありがとうね。」
私の言葉に綾さんが笑顔で答える。
それからせっせとご飯を作って完成した。
「本日のメニューは納豆と卵炒飯のおむすび、厚揚げと小松菜の炒め物、ほうれん草と牛乳のすーぷ、マグロのかるぱっちょです。」
二人とも喜んでくれてよかったなと思う。
「かるぱっちよはうちのお店の定番になりつつあるんですけど、炒飯とは炊いたお米と具材を鍋で炒めて味をつけたものになります。味付けの基本は塩と山椒、煮干しの粉末のみです。あとは野菜とかの風味を生かします。」
「ほぇーさすか穂乃果さんだなぁ。」
吾郎さんが感心して言った。
「いただきます。」
吾郎さんと綾さんは美味しいと食べてくださった。
「吾郎さんはお茶で綾さんは温めた牛乳になります。どうぞ!」
「穂乃果さん、いつもありがとうね。とっても美味しいわ。」
綾さんも嬉しそう。
こうしてまた夜が更けていき、私は帰りは吾郎さんに送ってもらうべく2人で歩きながらお店まで目指す。
「そういや、武士の方とはうまくやってんのかい?」
吾郎さんが私に聞いた。
「はい、おかげさまでうまくいってます。」
私は笑顔で答えた。
「また、穂乃果さんのいた時代のことも教えてな。」
吾郎さんかワクワクして言った。
「いいですよ。じゃあ話しますけど、私のいた時代赤と白の東京タワーっていう高さのある建物とスカイツリーっていう水色と白っぽい高さの建物があるんです。上と展望台になってて街を一望できる他、スカイツリーの下はお買い物できるお店がたくさんあるんです。また、東京タワーは電波塔と言って・・・まぁ、わかりにくいですよね。」
私の説明に吾郎さんが目を丸くして驚いていた。
「ほえーそんな高いのがあるんかいな?」
「江戸城の代わりの代表的な建物なんですよ。」
私が笑顔で答えると吾郎さんか神妙な顔で聞いてきた。
「なぁ、穂乃果さんの時代には江戸城はもうないんか?」