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江戸でおむすび屋さん始めました!

第2章 削り節おむすび(おかか味)


それから夕食となった。江戸の地で炊き立てのご飯が食べられるなんて凄く感動している。
「穂乃果さんは何で泣いてるんだべ?」
吾郎さんが不思議そうに聞いてきた。
「こんなに美味しいご飯が食べられるなんて感動で。」
食事は至ってシンプルな白米と漬物とお味噌汁なのにこんなに美味しいなんて。

令和の時代はご飯のお供やおかずにありふれてたのでシンプルな食事を食べるのは久々だった。けど、このシンプルさが余計にご飯を美味しく感じる。
「それはよかったですわ。」
綾さんがにっこり笑って言った。
「こんなものしかないけど、お米ならおかわりあるからどうぞ!」
「ありがとうございます。」
私は嬉しくて胸がいっぱいだった。
「けどよー。店始めるにしても穂乃果さんが寝泊まりできる所がないといけないよな?どうすっぺ?」
吾郎さんの言葉に我に帰る。確かに土地は借りられても自分が寝泊まりできる所がないとこの先やっていけない。でもいつまでもここにお世話になるわけにはいかない。
「江戸時代ってほとんどの家が平屋だもんね。二階のある建物だったらお店と住居と分けられるんだけどな。」
私の言葉に二人とも考え込んだ。
「二階のある建物ってそうないからなぁー。まぁ、お殿様はお城だから豪勢なんだろうけど俺たち市民はそうもいかねぇからな。広い土地を買って裏方を住居にすればいいんじゃねーか?てかそもそも土地を買うのに小判がいるべ。小判ねぇのにどうやって土地を買う?」
「それもそうか。うーん・・・私の時代でいうアルバイト雇ってくれるところないかなー?とりあえず働き口は探そうと思う。」
私が悩みながらそう答えると吾郎さんがお茶を飲んだ後、真面目な顔をして言った。
「穂乃果さんの時代はしらねえけど、ここじゃおなごは滅多に働かせてくれないど。女は家で家事仕事、男は外に働きに出るんだべ。いくら働きたいからって言ってもな。雇ってくれるところがないんじゃなか?俺の職場は紹介してもいいけどよー多分無理だべ。本当は穂乃果さんの計画を応援してやりてぇが色んな所に頼んでも放り出されるのが落ちなんだと思う。」
「そう・・・だよね。私の時代は女性も普通に働きに出てる人もいるよ。今は共働きって言ってお互い助け合ってる時代だし。うちのお母さんも塾でアルバイトしてたくらいだし・・・お母さん。」
そういえば私の家族って今頃どうしてるんだろう?
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