第11章 秋祭りと新米の季節
私やお手伝いの女子達もおむすびを食べ始めた。
はぁ、栗のおむすび美味しい〜
一口齧り付けば秋の味が広がる。
そして新米の塩むすびを食べれば少ししょっぱい塩味に甘味のあるお米が口いっぱいに広がる。
江戸でも新米にありつけるなんて思いもよらなかったな。
鮭とはんぺんのカツレツはサクサクしていてこれも美味しくできた。
「このかつれつ美味いですな!」
源平さんが嬉しそうに食べながら言った。
「前菜もおいしいわ。」
源平さんの奥さんも感心していた。
そして吾郎さんはお兄さんと久しぶりの再会を喜びつつおむすびを食べていた。
「おむすびおかわり!」
の声が聞こえるたびに私は食べるのを中断しておむすびを握った。
お手伝いの女子達も手伝ってくれた。
「さすが穂乃果さんは料理上手ですな。そういや、吾郎から聞いたが料理の資格を取ったんだってな。」
源平さんが私に聞いた。
「えっ?」
私は驚きのあまり言葉が出なかった。いや、それは言ってもいいのか?
すると吾郎さんがすかさず間に入ってくれた。
「穂乃果さんが前にそう言ってて。穂乃果さんちょっといいですか?」
「はい?」
私は吾郎さんに背中を押されて奥の部屋に入って行った。
「すまねぇ、父さんに聞かれてつい話しちまって。でもタイムなんとかの話はしてないから。」
吾郎さんが顔の前で手を合わせて謝ってくれた。
「もぉーバレたらどうするんですか?」
「すまねぇ、穂乃果さんの料理が美味しい秘訣なんだ?って聞かれてつい。ほんまにすまねぇっす。お詫びに何かやりましょうか?」
「それはいいですよ。でも今後は口を硬くお願いしますよ。」
私は吾郎さんに呆れつつも釘を刺して言った。