第11章 秋祭りと新米の季節
続逸さんと茶屋でお茶を飲みながらお団子を食べて話した。
「俺もやっと仕事が落ち着いてな。争い事はしばらくないだろーと思ってさ。」
続逸さんはそう言ってお茶を飲んだ。
「そうなんですね。それは良かったです。」
私は頷いて言った。
「秋祭り成功するといいな。暇だったら栗の皮剥き、手伝いに来てやってもいいぞ。」
「ありがとうございます。いつも助かります。夏祭りの時もありがとうございました。」
私の言葉に続逸さんは首を横に振って当然のことをしたまでだと言ってくれた。
江戸での生活も慣れて溶け込んでいるのが何だか嬉しい。
お茶とお団子を堪能したら街の市場に二人で繰り出してみた。
「うわぁ、秋の食材を見てるとワクワクするなぁ。あっ、そうそう。私のいたとかではいろんな秋があるんですよ。芸術の秋に食欲の秋、運動の秋に読書の秋。それぞれ思い思いにそれらをこなすんです。焦らずにゆっくりと。芸術の秋では絵画を見るのを楽しんだり・・・ここでは浮世絵の鑑賞がいいと思います。運動の秋なら体を動かすってことですかね?食欲の秋はそのままで読書の秋は積極的に本を読むことかな?まだここの本は少し難しくて読めてないんですけどね。」
私は少し笑って言った。
「そうか。色んな秋があっていいな。でも穂乃果さんは食欲の秋なんだろ?」
「え?何でわかったんですか?」
「だって穂乃果さんの額に食欲って書いてあるべ?」
「あはっ、バレたか?」
「あはははっ。」
二人でそんな会話をしていると思わず笑ってしまった。自然と手を繋いで歩きながら市場を巡るのもいいなと思った。