第9章 秋とラザニアの彩りと
江戸の町もすっかり秋になった。ラザニアみたいに葉っぱが色付いている。
「うわぁ、素敵!」
私のいた時代もお米が美味しくなる頃。今頃、みんなどうしてるかな?
そう考えながらうきうきしていた。夏の暑さから秋になると少し肌寒く感じる。江戸のみんなはどんな風に暖を取っていたんだろう?ふと思った。
勿論、火鉢で暖は取っていたんだろうけど着物の上に何か羽織るのかな?それとも肌着を厚く着込むのかな?そんなことを考えているとあることが浮かんできた。
お弁当の配達してもいいかもな。それなら配達してくれる男子のお手伝い係の人を集めないと。今すぐじゃないけどね。
でもそうなるとお客様の家にお弁当が届く頃には冷めてるのかな?ほかほかで熱々の弁当をお腹いっぱいに味わってもらいたい。私の時代には電子レンジという機械の箱で弁当を温めていたけど、江戸時代にはそんなものはない。だったら、火鉢の近くで温めるしか?でも下手すると火事になってもいけないし。どうしたらいいんだろう?しかも生物なんてなったら保冷剤に変わるものを入れないと?
疑問が次から次へと湧いてきたのてこの話は一旦お預けとなった。
でもこの話を思いついたのはこれがきっかけだけではない。家康様がわざわざうちのお店に足を運んでくださった時に温かいうちの味を届けられたらいいのになと思ったのだ。
もうすぐ冬もやってくる。寒い中、足を運んでもらうとしたら申し訳ない。だからこそお弁当の宅配をやりたい!今すぐではないけど源平さんの秋祭りが済んだら早急に対策を考えようと思う。
私は葉っぱが散った小道を歩きながら考えていた。