第14章 鋼の錬金術師
――エドワード・エルリックside――
記憶の糸をたどると、いつも最初に出て来るのは書斎で研究にふける"あいつ"の姿だ。
錬金術師だった"あいつ"に親らしい事をしてもらった思い出は全くと言っていい程無い。
"あいつ"が出て行った日、理由をたずねても母さんは「しょうがない」と言うだけで淋しそうに笑っていたが、影で泣いていたのを知っている。
母さんが病に倒れ、この世を去ったのはそれから間もなくの事だった。
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「エド!アル!どこ?」
父さんの書斎でアルと一緒に錬金術の本を読んで、床に錬成陣を描いていたら、母さんの声が聞こえた。
顔を上げると同時に、書斎のドアが開いて困ったような表情をする母さんがいた。
「また父さんの書斎を散らかして。本当に本が好きなのね。あら!だめよ、そんな所に落書きしちゃ」
母さんはオレが床に描いた錬成陣を落書きと勘違いしたみたいだ。
でもこれはちゃんとした錬成陣で、ちゃんと錬成もできる。
それを見てほしくてオレは両手を円に合わせた。
パシィ、と青白い光と一緒に円の真ん中にはヒヨコの形をした物体が錬成された。
「……………これ、錬金術よね。父さんに習ったの?」
「いない人にどうやって習うのさ!」
「本よんだら書いてあったよ」
どうやら母さんは本の内容はむずかしくて、オレ達が理解するとは思っていなかったみたいで、すごく驚いていた。
むずかしいって言うけど、本に書いてあるんだから読めばいいだけの話じゃん。
なんとなくだけど、書いてある意味はオレもアルもわかっていた。