第1章 三人の錬金術師
――・アールシャナside――
「、大佐が呼んでいるわよ」
休憩室で仮眠を取っていると、扉が軽くノックされた。
寝ぼけた頭でそちらに目を向けるとリザさんの姿があった。
「随分と疲れているようね。ちゃんと眠れているの?」
「眠るの、苦手だから」
欠伸をひとつ零してそう答えるとリザさんは困ったように「変わらないわね、昔から」と笑った。
午前の仕事が早く終わったから、午後の仕事まで軽く寝ようと思ったのに。
その矢先に大佐から呼びだしだなんて。きっと面倒事を押しつけられるに違いない。
そんなことを考えていると、
「そう言えばヒューズ中佐から伝言」
「え?」
「"たまには会いに来い"。ですって」
「……はーい」
そんな事言ったって、私は東方司令部勤務で、ヒューズさんは中央司令部勤務。
お互いに仕事が忙しくて帰っても会えるかどうか……ああ、違う。
きっと会いたがっているのはグレイシアさんの方か。
私のことを心配しているんだ。
「……時間見つけて、会いに行きます」
「そうしなさい」
小さく笑みを零すリザさんを見て、なんだかなぁと思う。
私はもう軍の人間で仕事をしていて、ちゃんと大人なのに、大佐もリザさんもヒューズさんもみんな、私のことを子供だと思ってるのがちょっと気に食わない。