第8章 賢者の石
――・アールシャナside――
時計が午後の3時を指す頃、私達はセントラルへとやって来た。
エドワードくんはいてもたってもいられないのか、駅に着いた途端駆けだした。
有益な情報をマルコーさんから貰って数日が経っている。
エドワードくんのことを考えれば、はやる気持ちを抑えることは難しいだろう。
兄弟より少し遅れて私もホームへと降り立つと、そこにはロス少尉とブロッシュ軍曹がいた。
どうやら、ここからはこの2人が護衛として着くようだ。
「アームストロング少佐、ありがとうございました」
「なに、短かったが楽しい時間だったぞ」
「ヒューズさんに会ったら、今晩会いに行きますとお伝えください」
「うむ、了解した」
そうしてアームストロング少佐は中央司令部へと戻っていった。
護衛が付くことを嫌がるエドワードくんは、やはりと言うべきか。
唇を尖らせて拗ねたような顔でぶつぶつと文句を言っている。
「がいるのに、なんでわざわざ護衛をつけんだよ。腕も直ったっていうのによぉ」
「マスタング大佐からの報告によりますと、スカーもまだ捕まっていないようです。事態が落ち着くまでは、という事のようです」
「アームストロング少佐やアールシャナ中尉よりは頼りにならないかもしれませんが、腕には自信がありますので安心してください」
エドワードくんは観念したように「しょーがないなぁ」と大きなため息を吐いた。
きっと彼は行動の制限をされるのが嫌なのだろう。
どうしたって誰かがいると「子供だから」と注意されてしまう場面が増える。
それが嫌で嫌で仕方ないんだろうな。
だからこそ、何も言わない私には嫌な顔をする事はほとんどなくなった。
流石に危ないことに足を突っ込めば大人として叱ることもあるけど。