第2章 プロローグ
それからは「俺達の出会いは運命かもな」と二人は一緒に冒険を始め、一年間という旅路の果てに恋人となり、仲間に結婚を祝福されて夫婦となった。
そして子供を欲しいと望んだ二人は体格差という都合により、体外受精という方法をとって無事に妊娠したが……。
二人が幸せ絶頂の最中、女性を探して迎えに来たという未知の生物が現れた。
それは女性の本来いるべき世界の不思議な生き物、ポケットモンスター……縮めてポケモンと呼ばれる中でも、神話で時間と空間を司るというディアルガ、パルキアという二体の伝説ポケモンだ。
『……最近、なんとなく嫌な予感はあった』そう言って嘆き悲しんだ二人は、けれどしっかり別れを受け入れ、仲間達とも最後に宴を開いて女性を住んでいた島まで送り届けた。(その際、世界中では「決して辿り着けない島」と呼ばれて有名になっており、白ひげ海賊団は唯一の到達者という称号を得ている。)
そして島に到着するとディアルガ達や海賊達に見守られつつ、白ひげは最後に我が子に与えてやってくれと名前を託し、更に自分の電々虫と女性の電気ポケモンが入った通信機器の番号を交換する。
決して多大な期待はないが、自分達が出会えた奇跡を再び、もしかしたら今度は大勢の家族で過ごせる時が来るかもしれない……そんな小さな希望とともに一応連絡先を繋いだのだ。
それから何十年もの月日が流れ、───────
「……今じゃ電々虫が向こうと繋がった時、いつもは砂嵐ばっかの画面がたまーに映像を映すんだ」
その日の晩の食堂に新人クルー達が集められ、今や家族全員に語り継いでいる昔話が語られた。
映像はほんの気まぐれに、時間帯も長さもバラバラだったが、決まって毎年の嫁と息子夫婦のお墓参りしている孫の映像は必ず此方に届いていた。
と言っても、彼方が此方に喋ってくれるリアクションは一度も無かったので、恐らく向こうは通信機器が繋がって見られているのを知らない。
……そう。何と世界中が知る由も無いが、天下の白ひげ海賊団には船長白ひげの孫娘、クルー全員にとっての一方的に見守ってきた姪っ子が存在したのだ!!!
「「なっ、なんだってぇぇぇええええっ!!」」