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不思議と不思議のクロスワールド

第4章 状況をきちんと把握しよう。





晴天。


ほんの瞬きするほど前まで悪天候だったのは何なのか、激しい雷雨と暗雲が渦巻く異常気象は、文字通り一瞬で吹き飛んだ。透き通って見える綺麗な青空と薄く散らばる白い雲は、つい先程の光景によって一層美しく見えていた。


シフォンはスマホロトムと共に家の中から窓を覗いて一連の天候の変化を見届け、周囲に雨雲かないのを確認してから外へ出た。そして腰に巻いたホルダーからモンスターボールを取り出し、真上に投げるとポンッと音を立てて外へ飛び出す一匹のポケモン。『ひこうタイプ』のムクホーク。黒色や灰色がメイン配色で赤色の鶏冠、黄色い爪と黒混じりの嘴をした島ポケモンだ。




「ムクホーク、空から被害状況を確認して!」

【クホォォォっ!!】




頼もしい鳴き声をあげてあっという間に飛んでいくムクホークの背中を見送り、辺り一体をじっくり見渡したシフォンは腕を組んで思考する。



「(……一体何が起こってるの?)」



カイオーガの特性『あめふらし』は常時発動状態にあり、みずタイプ技の雨を降らせる『あまごい』とは仕組みが異なっている。なので雨が降らない条件としてはカイオーガの影響範囲から離れる、或いはほのおタイプの『にほんばれ』や『ひでり』で天気を変えるか、他のポケモンと同様にモンスターボールに入り込むと止められる。


けれどこの島に避難者以外の人やポケモンはいない筈だし、伝説ポケモンの特性をあっさり塗り替えられる存在なんて、同等の力を持った対の伝説ポケモン・グラードンしかいない。けれど肝心のグラードンはあの場におらず、現状も『ひでり』にしては日差しや気温が強くないし、周囲で戦闘音も聞こえないのでこれも違うのは明らかだ。


ちなみにカイオーガがモンスターボールに戻る、は端から論外である。何せカイオーガをシンオウ地方が滅びる前に捕まえたのはシフォンで、シフォンはカイオーガをボールに戻していない。ならば必然的にカイオーガの影響から離れた事になるが、エスパータイプの『テレポート』があるにしたってあの場で発動するのはポケモン達も厳しかった。けれど、例外があったのだ。



「(……空間を操るパルキアだったら、簡単に出来たかもしれない。そして今の状況はまるで……)」



そっくりなのだ、先祖代々語り継がれる異世界に行ける現象に。

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