第3章 下っ端の犬
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わかりましたよ、とやっと目を着物から外し土方の方を見たしろなは得意げに笑みを零す
『着物と職を手放さないためにいっちょやってやりますから
「は、支度できたら山崎に案内させる。山崎、お前は部屋の外で待機だいいな」
「え、あ、へい」
そう言うと土方は部屋を出ていった
じゃあ、外にいるから…と山崎も外に出て行ったあと、しろなは再度着物を懐かしそうな眼差しで眺め少し寂しそうな笑みを浮かべた
『さて、やりますか』
そして着物に袖を通したのであった
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「おー!おはようさんシロ!着物似合ってるじゃないか」
『ありがとうございますゴリラ!ゴリラも相変わらずイイ感じにキマってますね!』
「ここに来てまでゴリラ呼び!?大丈夫かなこの子!」
武道場に入って早々近藤と言葉を交わしたしろなは腕をぐるぐると回し腰をバキバキと鳴らした
「よォ、寝てる間にまた胸縮んだんじゃねえかィ?」
『今縮めてるだけだから。実際はこれの3倍あるから』
「0には何掛けても0だぜ覚えときな」
『うっせえ!』
沖田とそんな茶番を繰り広げていると自分を呼ぶ声が聞こえ振り向くと竹刀が投げ渡された
「それを使え、女にはその長さが丁度なはずだ」
『んー…男と同じ長さあります?そっちのが慣れてんです』
受け取った竹刀を軽く振ると首を傾げ加減が気に入らなかったらしくそう問いかけた
「長いやつならいくらでもある。勝手に使え」
竹刀を受け渡した土方は男性用の長さの竹刀が刺さる籠を指差すとさっさと選んで来いと付け足した
その中から適当に選んだしろなはこれこれ、と満足げに頷きながら元の位置に戻る
『土方さん、本番する前に腕慣らしさせてくれません?』
「これで負けてちゃ洒落んなんねぇぞ」
『そんなつまらない事しないって』
楽しげに笑うしろなに土方は隊士を1人呼び付け相手をするよう頼む
その隊士と適当な距離を取ったしろなはお願いしマースと軽く挨拶をし構えた
「はじめ!」