第2章 ゴリラの園
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『よろしい』
よろしいのかよ!?
更に心の中で突っ込みを入れる全員とは裏腹に自分の居た場所に戻ったしろなは満足げにふんす、と息を吐く
…ちょい待ち。今胸を?見たって?全員で?ん?
しろなの表情は百面相の様に驚きの表情へと変わっていく
『どういう事じゃ手前らもう一度初っぱなから説明しろオイ。レディのおっぱいだぞ何、え?待てよオイィィィ!?』
「レディはおっぱいなんて言わねえよ貧乳」
初めてだろうか、土方が自分に向けて話したと思えば悪態を吐いて煙草の火を消した
『オイそこの瞳孔立てやさっきから聞いてりゃ私に向けての第一声が貧n…ごほん。スレンダーだって?聞き捨てならん』
貧乳、それはしろなのコンプレックスでありそれが原因で散々な目に遭ったことが山ほどある
「まあ落ち着いて最後まで聞きなちっぱい」
『誰か貧乳とちっぱいの違いについて教えて』
沖田の言葉に更に苛付きを覚えたしろなであったが素直に最後まで聞いてやろうと羽毛布団を掛け直す
「あんたがうちの屯所の前で野垂れ死にしそうになってるところを助けてやったってのは頭に入れといて欲しいんですがねィ、びしょ濡れの着物のままにしとくにゃちょいと可哀想過ぎるんじゃあねえかと思ったわけで」
納得。ここまで聞くと心優しい。身元不明の自分を匿ってくれたところまでは感謝した。
しかし次の言葉が問題だった
「で、てっきり男だと思ったんでこうバッと着物をはだけさせたわけで」
「隊長…!これ以上はいたたまれねえや…やめてやってくだせぇ」
「そうでさあ隊長!俺ぁあんな小さ…『顔は覚えたあとで覚悟しておけ』
止めに入った隊士を指差し左手の中指を立てるしろなをよそに更に沖田の話は進んだ
「サラシなんか巻いてやがったんでおかしいとは思ったんですが一思いに剥いだら…なんと言うことでしょう!」
『ふざけてんのかお前劇的ビフ●ーアフターじゃないんだからその話し方やめろ』
「まあそんなわけで全員で確認し議論の結果女って結論が出たんでさァ」
沈黙。
その沈黙は1分となかったがそれ以上に感じられた
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