第2章 ゴリラの園
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ガッターン!
「……………!」
そこに居たのはゴリラが一匹と男の群れ
『すんまっせーん、部屋間違えましたー』
沈黙と痛い視線を浴びたしろなは蹴り飛ばした襖をそそくさと直し戸を閉めた
ゴリラ!?まさかのゴリラの園かよ!!
ちょい待ち。さっき何人か人の姿が見えた気がする…まさかゴリラに捕らえられて洗脳されてるってのか?
そしたらここに居たら危ない。完全にゴリラの妻になる。逃げよう。羽毛布団は貰っていこう。
自己解決し来た方向に歩みを進めようとしたしろなであったが回りを取り囲んで居たのは先程の部屋に居た人間
『みんな目をさませ!ここはゴリラの園だ!!』
「こいつ寒さで頭やられてんじゃねえの?」
それはこっちの台詞だばっきゃろ
それより早く人間界に返してくれ
そう思ったのも束の間。隊士に担がれ部屋に連れ込まれたしろなは村長と思われるゴリラの前に座らされた
『すんませんゴリラさん。私ゴリラの嫁になる気ないんで帰ってもいいすか』
「この子初対面で辛辣な事言ってくる!?」
このゴリラ…人語を話せるように訓練している…だと!?
だが理解能力は低いはずだ
そう解釈を進めたしろなは身ぶり手振りをくわえ2語文で話し出す
『ゴリラの村長さん。私は人間。元の世界に帰りたい。』
「いやゴリラじゃないから!片言で話さないでも理解できてるからね!?」
なかなか理解力のあるゴリラのようだが隣に居る人間に話し掛けよう。比較的若いな
『君、茶色毛の』
「んあ?」
『ここどこなんです?ゴリラの園?』
「その通り。こちらがゴリラ長の近藤さん、で、俺が人間の族長の沖田でさァ」
ここはゴリラと人間が共存してんのか!
日本にこんなところがあったなんて…!
軽くカルチャーショックを受けるしろなをよそに沖田は話を続ける
『人間の族長ね、で。そちらの…ちょっとおたく瞳孔開いてるけど大丈夫?』
「気にすんな。俺は警察長だ」
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