第7章 【しょうれん】Darling
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……紫耀、知っとる?
なくなるんよ。
俺と紫耀が出逢った場所が。
俺らの思い出がつまった松竹座が。
最後の公演に向けて懐かしい仲間とリハしよると
むっっちゃ楽しいけど…淋しくて、。
…なんでやろな。
紫耀がおらんことには慣れたつもりやったのに。
ここに しょお がおらんことくらい
わかりきっとったハズやのに。
それでもやっぱり、
淋しいみたいやわ…。
***
あの頃の俺は人見知りで、臆病で。
転校を繰り返しとったせいか、
人に対しても執着がなかった。
今思えばそれは、容赦なく訪れる別れが
悲しくなりすぎんように、
俺なりの防衛方法やったんかも知らんけど。
どうせ仲良くなってももうちょいしたら離れる
んやし…と思うと積極的に友達を作る気に
なんかなれんかったのも仕方なかったと思う。
それに…容姿のせいか、自分から話しかけんでも
勝手に周りには取り巻きができて。
自分から友だちを作ろうとせんでも
気付いたら輪の中心におって。
それで充分楽しかったし、
これからもそうやって生きていくんやろうなぁって
人生イージーモードやんって思っとったあの日。
紫耀と出会ったあの春の日のことだけは
今もハッキリと覚えとる。
人に対して執着がなかった俺が
紫耀とは絶対に仲良くなりたいって…
ひと目見たときにそう思った。
まさにアレが俗に言う“ビビッときた”的なやつ
なんかなって思う。
この事務所の人間はさすがに商売道具なだけあって
顔が整っとる奴が多いとは思う。
けど、それだけやなくて…
仕事に対して一生懸命でコミュ力が高くて人格者で。
人間的に敵わんな、とか。こういう人になりたいな
って思う魅力を持った人はゴロゴロおって。
ただ、そんな中、、
初めてオーラに圧倒されたのが紫耀やった。