• テキストサイズ

【KP】ブロマンス

第6章 【Deep Forest】






―――あの日。
紫耀たちから退所を考えてることを告げられた日。


パニクって泣きまくるオレを連れ帰って
気持ちを吐き出させてくれた廉。


オレが知ってる廉はどんなときでも冷静で…
人前で取り乱してるところなんて
見たことがなかった。


この日までは…。


いつもはオレが廉に甘えて。
廉は甘えてくれなくて。


廉も抱えてることあったら話してくれたらいいのにな
って少しだけ不満が募って。


いつもだったらそれで終わりだったのに…
この日は違ったんだ。


煽るように酒を飲んでくだを巻く廉は
初めて見る廉で…
ひと言で表すとすっごく、人間くさくて。


不謹慎かもしれないけど、
そんな廉に触れさせてもらえたことが
そのときのオレは…嬉しかったんだよね。


「なんなん…ズルいやん、あの人ら。腹立つ…!
 キンプリ生かすも殺すも俺らに委ねて。
 そんなん、どうしろって言うんよ…!」


もう何度めかわかんないくらい音を立てて
机にグラスを置いた廉から溢れる気持ち。


「オレらの気持ちを尊重してくれてるのは
 わかるけど…残酷だよね、」

「まぁ…でも、、いまキンプリやめたら綺麗な思い出
 だけ残して、伝説になれるかもしらんよなぁ…
 全盛期に解散したビートルズみたいにさ。」


そんな自分の言葉に恐れ多いか…と自嘲した廉が
肩を震わせて泣いていた。


演技仕事以外では殆ど泣かないって言ってた
あの廉が…


「いっそ、解散しよって…とどめ刺してくれたら…」


廉の震える肩を思わずぎゅっと抱きしめて
不安を分け合うように背中を擦った。


「……オレもね、オレも…2人になったキンプリを
 ファンのみんなが求めてくれるかは正直、
 わかんないし、不安だし、そんな状態で
 ステージに立つのを想像したらすっごくこわいよ…

 もしかしたら、もしかしたらだよ?オレたちが一生
 懸命キンプリを守ろうとしたとしても…オレと廉の
 気持ちを無視して好き勝手言われるかもしんない。
 勢いがなくなったとか、悪足掻きだとか…。」

「こっちの気もしらんと…
 そんなん、悔しすぎるよな」
 

廉がぐぅっと握りしめて震わせた拳。


今までもこうやって持って行き場のない悔しさを
抱えたことがあったのかな…。










/ 71ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp