第2章 見返りのない…
大量の皿を洗いながら、
決して、届かない存在の大公に焦がれてしまった自分を情けなく思った。
だが、この胸の感情は恋と言うにはあまりに強く
一目見ただけで全幅の信頼と尊敬と愛を感じた。
まるで神を見たかのように、私は彼のことを思った。
日に日に、大公と目が合う回数は増えた。
あまり目を見ないようにしていても、抗えない引力で、目を見てしまった。
ある日の早朝、わたしのベッドに、兵士が立っていた。
お前がアリアか?
えぇ……
大公がお呼びだ。
私は心臓が止まったように、兵士の後に続いた。
木の扉の前に止まる。
大公と言えど、戦中であり、扉の装飾はあまり無かった。