第13章 勘違いから…
怪我をしてるのを放っておけない
ルシアリアは直ぐ様駆けつけ魔法で
治してあげる。
「大丈夫?すぐ治すからね」
突然暗闇から人が出てきたものだから
女の子は涙が止まるほど驚いたが
怪我を治してもらい警戒を少し解く。
「お姉ちゃん、どこから来たの?
助けに来てくれたの?」
女の子は小さな声で尋ねてきた。
「助け?何かあったの?」
「盗賊がこの奥にいるの。私、
攫われて売られそうになる前に
こっそり盗賊の目を盗んで逃げてきたの。
お姉ちゃんは助けにきてくれたわけじゃ
ないんだね…」
悲しそうに俯き、また涙が溢れる。
そこにまた奥から複数の足音が
聞こえてきた。
少女はビクッと体を強張らせ怯える。
ルシアリアは先程隠れていた窪みに
女の子を隠す。
「動かないで静かにしててね。
暗くても大丈夫?」
少女はコクッと頷く。頷いたのを
確認して足音が聞こえる方に向かう。
自分の足元を照らす魔法のライトを
敢えて付ける。
出口は塞がってるので逃げ場はない。
二人共見つかるよりは自分一人で
何とか時間を稼ぐしかない。
足音はすぐにやってきた。
盗賊らしき男が二人。焦ったような
顔をして近づいてきた。
「なんだ?女!お前この洞窟に何を
しにきた?ガキを見なかったか?」
「いいえ?誰にも会わなかったです。
私はこの洞窟に夕飯になるような
キノコがないか探しに来ただけです」
そう言うと盗賊二人はコソコソと
話し始めた。
「誰にも会わなかったって事は
ガキはもう洞窟から逃げたんじゃ…」
「ガキはもういいじゃねぇか。
代わりにこいつを連れて行きゃ
お頭は喜んでくれる」
コソコソと話してるが丸聞こえである。
女の子が逃げたと思ってるという事は
あの塞がっていた所はやはり出口だった
のにルシアリアを閉じ込める為に
塞がれたのだろう。
盗賊にも出口が塞がっている事を
悟られないようにしなくてはいけない。
逃げ出したい気持ちが膨れ上がるが
女の子を見捨てるわけにはいかない。
キノコを探すふりをして盗賊が来た
道の方へ進もうとすると盗賊が
近づいてきた。